画像検索のしくみ図解

画像認識のキホン:AIはどうやって画像の特徴を見つけるのか

Tags: 画像認識, AI, 特徴量, ディープラーニング, CNN

画像検索エンジンが、私たちがアップロードした画像に何が写っているのかを理解し、似た画像を見つけ出すためには、画像そのものをコンピュータが「理解」する必要があります。人間が見れば猫や犬、風景だとすぐに分かりますが、コンピュータは単なる色の点の集まりとして画像を捉えています。

コンピュータが画像を理解するために不可欠なのが、「特徴」を見つけ出すことです。では、この「特徴」とは一体何でしょうか。そして、AIはどのようにして画像からその特徴を見つけ出すのでしょうか。

画像の「特徴」とは?

人間が画像を見るとき、私たちは無意識のうちにそこに写っているものの形や色、模様などに注目しています。例えば、猫の写真を見れば、「尖った耳」「細長いヒゲ」「丸い目」といった部分に注目し、それらを組み合わせて「これは猫だ」と判断します。

ここで言う「尖った耳」「細長いヒゲ」「丸い目」といったものが、画像認識における「特徴」にあたります。より基本的なレベルでは、画像の中の「線の集まり」「色の変わり目」「角ばった部分」なども特徴と言えます。

AIが画像を認識するためには、人間と同じように、画像全体ではなく、そこに写っているものを示す重要な部分、つまり「特徴」に注目する必要があります。この抽出された特徴を「特徴量」と呼ぶこともあります。

なぜ特徴量が必要なのか

コンピュータにとって、画像は非常に膨大なデータの塊です。例えば、スマートフォンの写真でも、数百万、数千万の色の点(ピクセル)が集まってできています。このすべての点をそのまま比較したり分析したりするのは、計算量が多くて非効率です。

それに対して、画像の特徴量だけを取り出せば、データの量を大幅に減らすことができます。そして、この凝縮された「特徴量」を比較することで、画像の内容を効率的に判断したり、別の画像と似ているかどうかを比較したりすることが可能になります。

例えるなら、分厚い百科事典の中から特定の情報を見つけたいときに、全文を読むのではなく、索引や目次(特徴量のようなもの)を見ることで素早く目的の情報にたどり着くようなものです。

AIはどのように特徴量を見つけるのか

では、AIは画像の中からどのようにして、このような特徴量を見つけ出すのでしょうか。

かつては、人間がプログラムで「もし特定の場所に黒い点が多く集まっていて、その周りが白ければ、それは輪郭かもしれない」といったルールを細かく定義して、特徴を見つけ出そうとしていました。しかし、これには限界があり、様々な形の物体や複雑な背景には対応しきれませんでした。

現代の多くの画像認識システムでは、ディープラーニングと呼ばれる技術が使われています。ディープラーニング、特に画像認識に特化した畳み込みニューラルネットワーク(CNN)は、画像から特徴量を自動的に学習し、抽出することができます。

その仕組みを非常にシンプルに考えてみましょう。CNNは、画像をまるで小さな「窓」でなぞるように見ていきます。この「窓」は「フィルター」のようなものです。このフィルターは、画像の中の特定のパターンに反応するように設計されています。

例えば、あるフィルターは画像の中の「縦の線」によく反応し、別のフィルターは「横の線」によく反応するといった具合です。これらのフィルターを画像全体に適用することで、画像の中のどこにどんな線があるか、といった基本的な情報(これが基本的な特徴量です)を取り出すことができます。

さらに、CNNはこの処理を何段階も繰り返します。最初の段階で見つけられた「縦の線」や「横の線」、「角」といった基本的な特徴量を組み合わせて、次の段階では「丸い形」や「四角い形」といった、より複雑な特徴量を見つけ出そうとします。

これを何層にもわたって繰り返すことで、最終的には「目の形」「耳の形」「車輪の形」といった、人間が見ても意味のある、より高次元で抽象的な特徴量を捉えることができるようになります。まるで、点の集まりから線を見つけ、線を組み合わせて形を見つけ、形を組み合わせて物体を認識していく過程を、AIが自動的に学習しているようなイメージです。

まとめ

画像認識において、AIが画像を理解するためには、画像から「特徴量」を適切に抽出することが非常に重要です。この特徴量は、画像に写っているものが何であるかを示す本質的な情報です。

ディープラーニング、特にCNNは、この特徴量の抽出を自動化し、しかも階層的に(単純な特徴から複雑な特徴へと段階的に)学習できる強力な技術です。これにより、AIは様々な種類の画像を高い精度で認識できるようになりました。

画像検索エンジンは、このように抽出された特徴量を活用して、アップロードされた画像の内容を判断したり、大量のデータベースの中から特徴量の似ている画像を探し出したりしているのです。これが、私たちが普段利用している便利な画像検索の基礎となっている技術の一つです。